第8章 夢見るために
「ああ、君は...」
「ぼ、ぼくちゃんと同じ探偵社員の中島敦です。こっちは...」
敦が言う前に、鏡花が言う。
「...泉鏡花」
「そうでしたか、いつもがお世話になってます」
「あ、いえ!
あの...つかぬ事をお聞きしますが、喧嘩中ですか?」
「恥ずかしいところを見せていたね。
まあ、...の機嫌が斜めでね」
何も話さないに声をかける敦。
「何かあったの?ちゃん」
そう聞かれて、首を横に振る。
「ほら、ちゃん。僕が怒る前にどうするか決めないと」
樹戸は機嫌が悪くなってきている。早くしないと嫌と言っても無理やりにでもさせられる。
「痛くされるのを待っているのかい?」
『!』
きっと2人は聞いていただろう。
敦にはあの話を話したが、今目の前で聞かれるのはを恥ずかしい気持ちにされるのには十分だった。
「ちゃんがそんな気なら、そこの女の子とやろうかな」
そういうと、鏡花は樹戸を睨んだ。
「ちゃんほどではな──」
『言わないで!』
は話を遮った。
もう死にたいくらいの屈辱だ。
「分かったなら一緒に戻ろう」
その瞬間、の視界の隅で影が躍った。
鏡花が樹戸に刀を向けていた。
一瞬の出来事だったが、それを樹戸は交わしていた。
それに鏡花はあることを思い出した。
「もしかして、マフィアの構成員...?」
マフィア時代の頃に樹戸という人物を聞いたことがある。
「残念。けど、惜しい」
には分からなかった。
彼は塾の講師で小説家を目指しているって。
尚更彼のことが分からなくなった。
「そう...
貴方はもうから離れて。貴方の所為では苦しんでる」
「はそれが出来ないんだ」
樹戸は強制的にの腕掴んで、歩きだした。
「待って!」
敦がそう言うと、は『いいんです、ごめんなさい』と敦たちの方を見ながら謝った。