第8章 夢見るために
『なんでそんなこと言うの…』
『全部貴方のせいじゃない…っ』
は怒りをぶつけて声をあげた。
目頭が熱くなり、涙が零れそうになる。
泣いたら負けのような気がした。
泣いたらダメ泣いたらダメ、と自分に言い聞かせる。
耐えきれなくなり、は部屋から飛び出した。
「ちゃん……!」
すると、樹戸はの後を追いかけた。
行くあてはない。
取り敢えず、彼から離れたかった。
樹戸が分からない場所に行こうとするが、簡単に追いつかれた。
『近付かないで!』
「夜は危険だって言ったのはちゃんだ。戻ろう」
『もう帰ってっ、一緒に居たくない』
グイッと腕を掴んで引っ張られる。
「そんなこと言うと、どうなるか分かってるよね?」
『や、やだっ、離して!』
怖気が走った。樹戸に対して反論をすると、いつも酷いことばかりされていた。もうあれは嫌だ。
すると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
その声は敦だった。
「ちゃんっ」
隣には鏡花がいる。仕事帰りだったのかもしれない。