第6章 気持ち
白く、細長い腕には幾つか切り傷があった。
「どうしたんだい、これは。暴力的な父親に付けられたのかい?」
『違う...違います』
首を振っているの瞳に、涙が溜まっていた。
「隠さなくても知っているのだよ」
「これを付けたのも、事件の犯人も自分の父親だって言えばいいだけだろう?」
まあ、デタラメだけど…と思いながら太宰はを追い詰める。
『あんなの、父親じゃない!
──あの人なんかと血なんか繋がってない...』
太宰の視線に合わせては涙を流した。
「知っているんだよ」
『知ってるって何をですか...』
震える声では太宰に問うた。
「昔の事だけれどね───...まぁ、この事はいいや」
『は、はぁ...』
何なんだろうと、は戸惑う。
「君のお父さんは何をしていたか知っているかい?」
『.......塾の先生』
ぽつりとは答えた。
「ふふ、そうだよね。でも──」
太宰は を机に押し倒して言った。
「こんな事していただろう?」
は驚いた。