第4章 始まり
急いで探偵社に戻ると、敦は直ぐに与謝野に軽く事情を説明してベッドにを寝かせた。
しばらくすると、ドアが開き与謝野が敦を呼んだ。
「敦、ちょっと来な」
「…はい」
すると、国木田が医務室の方を見て「敦、お前はまだこの書類終わってないだろう」と書類を敦に見せながら言った。
「そンなの後ででいいだろう。こっちは忙しんだ。」
与謝野がそう返すと「いや、しかし───分かりました」と、眼鏡を上げて去って行った。
医務室に入ると、は寝ていた。
その姿を見て、少し安心した。
与謝野はの所に近づいて、布団を退かしての洋服のボタンを外した。
丁度腹が見えて敦は一瞬顔を赤く染め、目を逸らした。
「ここ、いくつか傷があるだろう」
与謝野に言われて気づいた。
「敦、アンタ何か知ってるかィ?」
「…いえ、知りません」
そう言うと与謝野はの服のボタンを付けた。
「だよなァ、アタシはあの事件の犯人だと思ってるんだけどねェ」
少し黙り込んでから、
「アタシは出かけるからのこと頼んだよ」
そう言って与謝野は医務室を出た。