第4章 始まり
ある程度の情報を掴み探偵社に戻ろうとする時、私は行きたい場所があって、敦さんにお願いをした。
その場所は、今の場所からあまり離れていない。
行った場所は観光スポット。
「綺麗だね」
私は頷いた。
「何度か来たことあるの?」
私は首を横に振り、言った。
『...家族で1回だけヨコハマに来たんです』
「へぇ、じゃあ生まれはヨコハマじゃないって事?」
『私の出身地はここから遠くて……』
「そうなんだ」
『はい…逃げて来たから』
「逃げて来た…?」
私はそれきり、口を開けなかった。
余計な事を言ってしまった、と少し後悔した。
敦さんとこんなに話せるのは嬉しいけど、過去の話はしたくない。
──やっぱり、若い子はいいものだね
──言いたかったら、言えば良いじゃないか。知って悲しむのは君のお母さんだよ
『……』
不意に昔のことを思い出した。
気分が悪くて、その場に蹲った。
「ちゃん、大丈夫っ?」
私は首を横に振った。
大丈夫、と言って敦さんを困らせたくなかったけど無理だった。ものすごく気分が悪い。
敦さんはしゃがんで、「探偵社に戻ろう」と背中を向けて言った。
おんぶのことを言ってるのだろう。
恥ずかしかったけど、素直に敦さんの背中に身を委ねた。