第11章 憂愁
『全然、待ってないです』
頭を横に振りながらは答えた。
「良かった。…今の子、知り合い?」
敦は優しい微笑みでに問いかけた。
『は、はい……。中学校の頃からの、親友です。』
彼女とは、まだ親友。
そう思うのはささやかな願い。
入学式当初不安だったに、花灯が1番最初に優しく話しかけてくれた。3年間一緒で、仲が良かった。
これからもずっと2人で……。
と思っていたが、中学の最後から一緒に居られなかった。
彼女とは全く会えていなくて、住むところも違う。
なのにまだ親友と言えるのだろうか。
中学の頃の親友である花灯にでさえ、自分の事を話せなかった。
言っても軽蔑される心配があった。
樹戸のこと以外、彼女に秘密を隠していなかった。嘘だってついたことなかった。
去って小さくなる彼女の背中を見つめていると、少しだけ複雑な気持ちになった。
寂しいけれど、敦がいるから平気だ。
──私には、この人しかいない。
敦さんがいるだけで……
最近は敦に対して、そう思う事が多くなっていた。