第11章 憂愁
花灯の言葉に胸がドキリとした。
『う、ううんっ、か、彼氏じゃないよ!彼は職場の先輩…』
そうは全力で否定する。
花灯の恋話が好きな事に、は変わってないと嬉しく懐かしく感じた。
「違うの?結構仲良さそうに見えたから、付き合ってるかと思った」
花灯は本心でそう言った。
からすると、恋人同士に見えたのは嬉しいようで、少し照れくさい。
「遠くからの嬉しそうな横顔を見てて、そう思ったんだ。あまりって顔に感情出さないじゃん?」
そうなんだ…、と思いつつ花灯の事を見つめた。
「前、急に学校来なくなった時結構心配してたんだよ?でも、今こうやって元気そうなに会えて良かった。安心した」
花灯が青く澄み切った空を見上げた後にニコッと微笑んで話す言葉に、は涙が出そうになった。
花灯の言葉は嘘に聞こえない。は本当に心配してくれていた事が、嬉しくて感激した。
それと同時に、あの頃の記憶も甦る。
唯一の友人の花灯には、中学の頃最初に襲われた時の事も話せてない。
それに今もされていると、話せない。
の時間はあの時から止まったまま。
今も鮮明に思い出す。