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【文スト】君の笑顔が見たいから【R18】

第11章 憂愁




それから2人は東京タワーまで歩いて向かった。


敦とは東京タワーを真下から見上げる。


先程の遠くから見た姿よりも、真下から見ると更に東京タワーの存在感に圧倒された。


間近で見る東京タワーはものすごく魅力的で素敵だけど、の思いは変わらない。


敦との会話が上手くいかなくて元気がない。は少し唇を噛み締める。


話したい。


が何か会話の話題を考えていると、少し先の所に見覚えのある人物の姿があった。


でも本当にその人か、自信がなくその人物から目を逸らして他のことを考えた。


「ごめん、トイレ行ってきていいかな?」


そう敦が口にした。


『あ、はい…じゃあ、待ってます』


そういうと敦は「すぐ戻るから」と言って去って行った。


ぽつんとは敦の帰りを待った。


待っていると、先程見ていた人物が前に来た。


すぐ近くにいて、目の前にいる。


よく見ると、矢張りあの人の面影がある。


の視線に、相手が気付いた。


「あれ……」


そう口にしたから相手が自分の事を覚えているかも、と少し期待した。


「もしかして、…?」


声をかけられたは、恐る恐る頷いた。


「やっぱり…!!私、花灯(はなび)だよ。覚えてる?」


花灯と名乗る少女はに駆け寄る。


『うん、覚えてる…覚えてるよ』


彼女は、中学の同級生での友達だった。花灯は嬉しさのあまり、に抱きついた。は戸惑いもせず、素直に抱き締め返した。


「良かった。いつぶりだろ?はこっちに住んでるの?」

『わ、私は、ヨコハマに…』

「そうなんだ!」

『花灯ちゃんは?』

「私は東京に住んでる。少し前に親が再婚したんだ。お母さんの再婚相手がこっちに住むって言うから引っ越したの」


そういうと、花灯は急に真剣な顔をしてに聞いてきた。


「さっきの男の人、の彼氏?」



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