第2章 2
お嬢様日記。
日々の様子や自分の想いの丈などが綴ってある。
これに加え今日からは毎日、指の傷の経過を記録しなくてはと思った。
この行為も、お嬢様の目には異常に映るのだろうか。
川島がこんな日記を書いていることすら、おそらくは知らない。
異常でもいい。歪んでいてもいい。
自分はただ、ひたすらに彼女だけを愛している。
今までも、これからも……それだけでいい。
思案にふけっていると、眠っていたはずのお嬢様が部屋へやってきた。
あわててノートを閉じたが、見せろとせがまれた。
やんわり断ると「もう川島とは口を利かない」などと可愛い脅しをかけてきたので、しぶしぶ見せることにした。
結局、お嬢様の言うことにオレは逆らえない。
どうしたって勝てない。
彼女の一声、髪に触れる手の動きだけで参ってしまうから。そんな勝てない関係でも、お嬢様を想う愛だけは絶対に負けない。
ノートをめくり呆れたように笑う姿を見つめながら、川島は思った。