第4章 はしやすめ
牢があるものの、身を乗り出してこちらを見る宇航は普通に怖い。
当の宇航はキラキラした目でこちらを見る。というか、いい朝ですねと言われたが先ず此処から外見えない筈だが、正気を疑う。
「…紅炎様、何故此処…」「其奴の名前を呼ぶんじゃねぇよ!!」
私の問いかけを遮る宇航に吃驚した。ここ数日関わった中では取り乱すことが無く、いつもニコニコしていた宇航が、叫ぶとは。だがまぁ噛み付いたということで看守に殴られていたが。
「……何故此処に?」
紅炎様の方へ顔を見る。ッチと牢の中から舌打ちが聞こえたが、まぁ無視しよう。
「罪人である宇航の刑を決めに来た。本当は皇子である俺の従者に性的暴行を奮った罪として死罪、詰まりは凌遅刑に処そうかと思ったが、は拒むだろう?だからと決めようとな。」
「…理解しました。」
やけに大人しいと思った宇航はいつの間にか猿轡を噛まされていた。
「うーん、でも私、別に宇航は軽い刑で良いと思うんですよ、」
「…例えば?」
「紅炎様に一生仕えるとか!」
ブンブンと音が聞こえるくらいに首を振る宇航。まぁ致し方ないよってね。
「…、お前はこの阿呆に襲われたのに何故そんな事が言える?昨晩言っていた似ているとは何だ?」
「それは_」
うう、自分から暴露するって恥ずかしいけど、でも目の前にいる人を失いたくないから是非もない!言ってしまえ!
「私は紅炎様、貴方様に救われて此処にいます。貴方様に救われていなければ、私はこの世にもいなかったし、此処にも居なかったと思います。貴方様の力になりたくて、勉強して、努力して、そうして今、貴方様を支える従者という仕事をしています。宇航も私と同様だそうです。」
一息ついて続ける。
「私に救われた事で、私の力になりたいと思ってくれたそうなんです。そんな彼を無下にしたくないんです。」
「…。」
「それに、彼は紅炎様を脅かす男とは思えません。彼は恐らく毒を持った犯人では無い。だからこれは被害者である私さえ許せば済む話だと思っています。紅炎様、今一度検討して頂けませんか?」
紅炎様ならわかって下さると、信じてる…。