第4章 はしやすめ
小さい体とはいえ、タックルされたのだ、しかもお腹に。それなりに痛く、涙目で睨めば、
「君はもっと周りを見たらどうだい?」
と言われた。その言い方にイラッとしつつ周りを見渡すとそこには魔女の結界があった。路地裏故の暗さに気づかなかったが中々強い魔女というのが分かるその結界にぞわりと寒気が背中を這った。
それはその魔女が強いからではなく、 宇航 がここに来ていたからだった。それがたまたまここに来て魔女の結界に入ったのか、意図して、ここだと分かった上で、来たのか。答えは出なかったが彼には明らかにこの国を脅かしそうな秘密があると確信した。
「キュウべぇ、行こう」
宇航を追いかけていたとはいえ、これは魔女の結界。魔法少女として願いを叶えた日から魔女と向き合ってきたのだ。逃げるわけにはいかないし、放置する気もなかった。
私の肩にぴょんと乗ったのを返事と受け取り、私は魔女の結界に足を踏み入れた。
入ったそこは相変わらずぐちゃぐちゃ。何を言っているか分からない使い魔に囲まれて、何だか溜息が出た。
でもこれも、同胞の弔いだと思うしかないんだろうな。なんて考えながらその辺の雑魚、基使い魔を倒していく。
キュウべぇは私しか魔法少女がいないと言っていた。なのに何故魔女なんて生まれるのかな、
そういえば煌ってなんか魔女が凄く多くいた。
魔女は心が深く絶望した時か、魔力を使い切らない限りならない。そういえば魔女化って堕転と似てるって考えたことあったな。.......てまさか...!?
核心に近づける、と思ったその時、私目掛けて大きな拳が飛んできた。顔をあげればとても大きい体を持ったやつがいた。こいつが魔女か、と観察すれば煌の官吏専用の漢服らしきものを着ていた。手は袖から出ておらず、袖はぷらぷらと持て余していた。
やはりと確信を持ったところでまたもや大きな拳が繰り出されるが、
「流石に同じ手には乗らないよっと!」
その拳を避け、ハルバードで遠慮なく地面ごと刺す。私のハルバードは特別性。それは形状が変わったりする他に、私の魔法がかけられていて、通常のハルバードよりも固く、そして鋭い。
そんなハルバードで手を地面に縛り付け、あとはもう殴るだけになった。