第3章 本当のこと
「は...母上!どうかご再考を...陛下のご遺志とはいえ、これでは...」
そんな白瑛様の言葉を遮るように白龍様が声をあげた。
「皇太后陛下...」
「!?」
「玉座にお着きください。あなたの他にはおりませぬ!」
その言葉を筆頭に、組織の者達がかしづき、こう口にした。
「玉座にお着きください皇太后陛下!!」
「あなたの他にはおりませぬ!」
「皇太后陛下!!皇太后陛下!!」
これじゃあもう、反論の余地すらない...!組織の犬どもめ...。
~~~~~
そのまま謁見は終わり、皆思うことがあるようで、各々の部屋に戻った。渡り廊下を歩いていれば雨が降り始めたことに気づく。それにより、更にどんよりとした気持ちが増した。
「はぁ.....」
これからこの国はどうなるんだろう...。私は紅炎様がそれで良いと思える様になって欲しいけど、玉艶様が皇帝陛下じゃ、世界も統一できない気がする。
「ん?」
その場で立ち尽くし、ぼや~っとしていた時、大量の黒ルフが集まっているのが見えた。あの場所は、中庭...?まぁこの広い王宮には中庭なんて沢山あるんだけど、その内の小さめの中庭。
なんであんな所に黒ルフが集まって...?
私の好奇心が擽られて、そこに向かうことにした。中庭まではそう遠くないし。走る...のはめんどくさいから、なるべく早歩きで...そうやって中庭に近づくと、ゴッ、バチバチバチバチィ!という音がした。
見えないから分からないけど、とりあえずなんかやばそうな匂いが凄い。だが依然として歩きで行く私。
そうしてさっきよりドンと大きい音がしたかと思うと、横になにか凄まじい速さで飛んできた。
「えっ!?.....って白龍様!?」
そしてその傍には玉艶様。力なくそこに座る白龍様に何かを呟いた玉艶様はその場を立ち去ろうとしていた。
「あっ、待ってください玉艶様!」
「...あら?...?」
「え、ええ、お久しぶりです。」
玉艶様はなんかよく分からないけど私の事をすごく可愛がってくださる。私もそんな玉艶様が本当の母に見えて懐いている。確かに組織はそこまで好きではないが、嫌いになれないのは玉艶様がいるからだろうか?