第3章 本当のこと
静かに死を受け入れようと目を瞑ると、来ない痛み。そして聞こえた大蛇の表現しがたい断末魔。
「え...?」
そこには大きくて異形な手。いや、なんだこれ!?悪魔のような手にも取れるそれに目を見張る。
いやそうじゃない、大蛇は?と確認すると、胴体と頭に大きい穴が空いた大蛇はピクリともせずに地面に潰れていた。
「ん?お前は...?」
異形だった手が元に戻る。そこには紅の髪の毛を有す少年がいた。うわ、すっごい美形。その容姿は男性とも女性ともつくもので、先程の声を聞いてなかったら本当に性別が分からなかった。そんな彼に見惚れつつ、
「助けて下さりありがとうございます。」
とお礼を言えば「助けた覚えはない。」とキッパリ言われてしまった。
「でも、実質私は助けられたも同然です。ありがとうございます。私はと言います。貴方は?」
「俺は...練、」
「紅炎様~!!」
私が入った扉から大勢の兵士達が入ってきた。
「紅炎さんっていうんですね。」
「...ああ。...お前は、いつまで座っている気だ?」
「あ、そういえば、」
先程のせいでずっと座り込んでいた。相手にも失礼だから立たなきゃ。にしても、この人、様とかつけられてるし、凄い兵士連れてるし、なんか偉い人なのかな。ぽーっと見上げていればそれに気づいた紅炎さん。
「なんだ、一人で立ち上がれないのか。ほら、」
そうやって差し出された手。私より何個か年上のその手は少しゴツゴツしてて男性らしさがあった。私はその手をガッチリと掴み、立ち上がらせて貰った。
それが私の運命の出会いだった。
なんてね。
「い?」
「...?」
「おーい?」
「ー」
「殿ー」
誰かに名前を呼ばれている。あれ、私は何をしてたんだっけ?そういえば、なんか懐かしい夢を見た気が...
「おい、。好い加減起きろ?」
「え?」
目が覚めると、ドアップの青秀殿。それにびっくりして思い切り頭突きしてしまった。ゴツンと良い音がするが、私の頭はとても傷んだ。
「~~~っ」
「やっと起きられましたな、」
「楽禁殿、それに炎彰殿に、黒惇殿まで...どうして?」