第3章 本当のこと
「なんだろうね?これ、」
「さぁ?僕には分からないよ。」
「まぁそうだよね~。.....とりあえず、入ってみる?」
「の好きにすればいいんじゃない?」
「相変わらず腹立つ...」
なんて他愛もない会話をしながら入ったその建物こそ、アシュタロスの迷宮であった。
謎の光の壁をつき抜ければそれは不思議な体験だった。青い球体に吸い込まれるような感覚に私は少し気持ち悪さを覚えたのをよく覚えている。
業火に包まれて焼かれる様な感覚に、そこから脱しようともがけば、地面に八芒星の描かれた場所にいた。先程の業火は何処へ...?先ずここは一体どういった場所なんだ?次々に押し寄せる疑問と戦いつつ、とりあえず進むことにした。あれ、キュウべぇは?
「遅いよ。」
「は?」
「僕が来てから1時間位経ってるよ。」
「...へぇ。」
どうやらここは常識の通じない迷宮的なものらしい。入って早々から身の回りに起きる現実味の無い現象にそう思わざるをえなかった。
「じゃあ、進もうか。キュウべぇは何か見つけた?」
「それがねぇ...」
「なに?濁さないでハッキリ言って...よ...........」
歩きながら開けた場所に行けばそこにはそびえ立つ大きな壁があった。その壁は約6m程だろうか。まぁ一般常識的に考えて、人には登れない。扉らしきものも着いていない。さてどうする。
「は~なるほど?これは確かに厄介だ。だが、私なら魔法で飛べるよ?」
「...止めといたほうがいいと思うよ。上から嫌な気配がする。」
「ふーん?」
どうせ私はソウルジェムさえ無事であればなんとかなるし、グリーフシードもストックがあるから魔力切れも問題ないけど、キュウべぇがそう言うなら止めてみようかな。
「じゃあ壁でも調べてみるか、キュウべぇ、手伝って」
「はいはい。全く、人使いが荒いんだから」
「お前、人じゃねーだろ」
キュウべぇにツッコミつつも壁をぺたぺたと触る。こういった部類は基本、適当に触ったところがガコンなどと凹み、何処かが開く仕組みが多いのが関の山。
と、馬鹿にしていたのがいけなかった。適当に触ってもそんな気配のある場所は見当たらなかった。