第2章 懐かしい香り
「そして我々には、陛下も一目置いてくださっているはずですね。」
「.....ええ...でもそれ程の「七海連合」に、バルバッドなんかを加えると?果たして本当かしら...?」
「本当です!かねてからその約束でした。我がバルバッド国は先々代の王の頃より、シンドリアとは実に親交深い!
おや、ご存知ない...?」
ズイッと出てきてアリババが言った。さっきから見てて思うのがアリババの機転の変え方、突く所の上手さ。言葉の使い方も上手い...。どんなに言い返しても全部言い負かされそうな感じがする...。これは紅炎様位の相手じゃないと手強いぞぅ。
「.....そうなの、夏黄文。」
「それは.....確かですが!!それとこれとは関係ありません。」
私は煌のこれからを考えてこの縁談をどうにかしたかったけど、野心の強い夏黄文のことだ。恐らく彼があんなに慌てふためいているのは昇進の為...。それがこんな形で終わるだなんて、ね。後で何か奢ってあげよう。
紅玉ちゃんはフウッ...とため息を吐くと、「この件...陛下にお任せした方が良さそうね...」と言った。そして続けて「ただし、退くのには条件があります。バルバッド七海連合入りの件、真実ならば我が皇帝の前に証明しに来なさい。シンドバッド王!」とも。
「必ず伺おう!」というシンドバッドの返答を聞き届けた紅玉ちゃんは「それでは!」と足速に去ろうとする。それに続いて私達も撤退。王の間を出る間際に紅玉ちゃんがホッと一息ついているのを見てこちらも安心した。
「良かったね。」
ポソリと紅玉ちゃんに耳打ちすると、少し恥ずかしそうに「ええ」と答えた。煌帝国の為に動きたいが、紅玉ちゃんの結婚の事を考えると複雑だったので私的にはどちらに転んでもあまり変わらないと言えば変わらなかった。
まぁ、でも、紅玉ちゃんが嬉しそうだから、私も嬉しい、のかな?