第2章 懐かしい香り
まぁ、恐らくなので、根拠はない。
「お待ちになって?生まれ変わるだの共和制だのと...まるで、これから自由にバルバッドを運営していけるような口ぶりですね?でも、あなたお忘れになっているのではなくて...?バルバッドの...通商権も、海洋権も、制空権も国土も、あらゆる利権も、すべて!借金の担保として我が煌帝国に譲渡されていてよ!?
つまりは...バルバッドに必要なすべては、煌帝国のものなのよ。どうしようもないのではなくて...?」
「よく...わかっています...............しかし、それらの権利を譲渡したことを、すべて.........
なかったことにして頂きたい!」
「.....」
「!!??」
あまりにもありえないアリババの主張に、さしもの紅玉ちゃんも一瞬ポカンとしていた。可愛い。
「なっ...!?」
「ちょっと待ってください!もうさっきから黙って聞いてれば!ちょっと従者の立場を離れて一言言わせて下さいますか!?というか言いますけど!」
だからと言って黙ってられる訳では無かった。
「アリババ様、紅玉様が仰った通り、それらの利権はあなた方が使った「煌」の借金の分です。それらの担保として譲渡したのでしょう?つまり私達煌帝国は、あなた方に貸した分だけ痛手を負っているという事ですよ?それを無かったことにするというのは、こちらの損害が増えた、それだけになりますよ?」
流石に煌の人間として、損しただけなのは嫌だ。この気持ち、アリババに伝わっただろうか?
「...従者殿、考えてもみてください。それらの約束を交わしたアブマド王こ王政は、解体しました。あなた方の仰っしゃる その バルバッドは、もはや滅びて存在しない国なのです!これから形成されるのは、まったく新しい別の国!ゆえに、煌帝国と交わした約束が引き継がれようはずもないのです!そうでしょう!?」
アリババは堂々とそう言い退けるが...
(そんなの、ただのこじつけでしょうに。)