第2章 懐かしい香り
キイィィィン
「!」
「!...紅玉ちゃん、ちょっと私、散歩してくるね!」
「え、ええ。」
魔女の反応がした。キュウべぇもそれに気づいたようで、素早くその場を立ち去り、魔女を探す。離宮を出ると反応が少し強くなる。これは...正門の方かな...。確かにどこか騒がしい。魔女が暴れてるのかも知れない...。急がなきゃ...!
全速力で走って正門に行けばそこには炎の柱。
「...え?」
あれは、アリババ!?いや、そんな事より魔女!って、アリババと戦ってるのは、ウチの迷宮生物軍団に所属してる...
「何してるんだ!こっちだ!」
ぼうっとアリババ達を眺めていればキュウべぇに叱咤された。
「あっ!うん!ごめん!」
キュウべぇに促された方にまた走って行き、突き当たりを曲がると、魔女の結界があった。どうしてまた魔女が...。煌帝国にいる時は全然見なかったのに、こんなに頻繁に出る...!?何故...?答えの見つからなそうな問いに疑問符を浮かべながら私は、魔女の結界へと足を踏み入れた。
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「ふー倒した倒した。」
グリーフシードを手で弄びながら先程の道を引き返す。結構時間かけちゃったかもとか思いながら歩いてると、さっきアリババのいた所には猿?の死体とモルジアナが見えた。会うとなんか厄介そうなので申し訳ないが透明になってその場をやり過ごした。
そうして離宮に戻って一息吐けば、またルフが騒がしくなった。この国って...忙しいなぁ...。
「...なぁ、なんか騒がしくないか?」
「王宮の方だよな?」
「何かあったのか?」
その騒がしさは人の煩さもあったようで、衛兵達が外で話しているのが聞こえた。...紅玉ちゃんのとこに行ってみようかな...。そう思って腰を上げた時、コンコンとノックと共に紅玉ちゃんと夏黄文が入ってきた。
「殿。今、王宮が騒がしいので様子を見に行く所なのですが、我々と共に行きませぬか?」
「うん。着いてくよ。」
夏黄文の問いに頷いて、一緒に王宮に行くことにした。