第1章 始まり
「ここが...バルバット...!!」
バルバット王国。
国面積は大陸一小さく、国というより都市と呼ぶべきほどだ。
しかし、それはあくまでも この大陸においてのみ の話である...
バルバットは、首都こそ大陸におくが、その実態は大小数百もの島々を支配する、大海洋国家なのだ。
バルバットは、北のオアシス都市群、北東の小国群、西のパルテビアの中心地とあって古来より交易に栄えてきた。
様々な人種、文化が混じり合い、周辺国とは違った雰囲気を持つ国なのである。
(って 宮中 にあった書物に書いてあったなぁ...。あの人もそう教えて下さったし...。
でもこの シン とか言う奴の通り、先王が亡くなられてから国が乱れている...。確かにこれはウチのバカ共に狙われても仕方ないってわけだ。)
さ、あの方の為にも色々収穫せねば。
「...ん!...ね、さん!」
「え」
「おねえさん!どうしたんだい?ぼーっとして。おじさんが国一番の高級ホテルに泊まらせてくれるって!」
はっとすると、そのホテルに入っていくシンとモルジアナが見えた。
「ああ、うん。ごめん今行く。」
(恐らくこのシンは、かの有名なシンドリア王国の国王であるシンドバットだ。油断して正体がバレたら仕事ができない。くれぐれも慎重にならねば。)
と思ってホテルに入ったが、アラジンの服を着たパッツパツなシンは衛兵に囲まれていた。
(はぁ、なんだが拍子抜けしちゃうなぁ...。)
~~~~~~
あの後シンの部下と名乗る2人が来てなんとかなった。
(部下、ね。同じ穴のむじなという物を感じるよ。彼らは従者であるし、それに...__)
「わ~~~~~ゴージャス!」
(ああ、また考え事に耽ってしまった。仕事は仕事だけれど、今はそこまで考えなくても良いのだから。もっと気を楽にしよう...。)
ぽふぽふとベッドで寛ぐアラジンはホテルの女性にアリババについて聞いた。
(そういえば、アリババを探してるんだっけ。)
アラジンの質問を聞いたホテルの女性はガシャンと持っていた物を落とした。
「今、バルバットのアリババと言えば、この国一番の犯罪者でございます。」