第2章 懐かしい香り
「夏黄文、ジュダルちゃんの具合はどうなのぉ?」
「私の眷属器で治療しておりますが、全身の骨が折れているので完治には時間がかかりそうであります。」
「そう...」
紅玉ちゃんは伏せ目がちにため息をついた。
「ねぇ...おかしいと思わない?なぜ、正統な皇女であるこの私が政略結婚などに出されなければならないのかしら。こんなもの、あの白瑛にやらせればいいのよぉ。あいつは前皇帝の娘なんだから。」
紅玉ちゃん...。割とってか全面的にこの婚約が嫌なんだね...。
にしてもこの国も中々変わってるよな~。まぁ普通っちゃ普通だけど、皇帝が亡くなられたら次の皇帝がその兄弟だなんて。つまり紅玉ちゃんと白瑛さんは従兄弟な訳だし。でも皇女だから本来仲良い筈なのにギスギスしてるし。まぁ、白瑛さん的には仲良くしたいんだろうけど、今の皇帝の娘方はもうプライド高い系女子がわんさかだからねぇ...。紅玉ちゃんはそうでもないけど。
「姫君、このバルバッドは南海の貿易の要、我が煌帝国が西方へ進出するための重要な拠点となる国なのであります。それを無傷で手に入れ、国民に威信を示すためにも、正統な皇女である貴方様が女王として即位する必要があるのでございます。」
「わかっているわ。でも、せっかく「迷宮攻略」をして金属器を手に入れたところだったし...私は武の道を歩みたかった.......それに.....恋だってしてみたかった...」
「紅玉ちゃん...」
「姫君...」
...........えっそういえば、紅玉ちゃんて、迷宮攻略したの????
えっ初耳なんだけど...。いつの間に...。
「これは...陛下の勅命であります。それに、結婚式には兄王様もいらっしゃいます。」
「わかってるわよぉ!」
「.....てことは私も着いてくのね。紅玉ちゃんの晴れ姿見れるのか...。」
「ちゃん、あのねぇ!」