第2章 懐かしい香り
「ちゃん!!大丈夫なのぉ~!?」
扉から崩れる様に入ってきた紅玉ちゃんはそのままの勢いで私の寝ているベッドに倒れ込んできた。
あれ?先程の女性、夏黄文だけを呼ぶと思ったのに、紅玉ちゃん着いてきてるし、他にいる従者と思われる人達は全員見たことのある人達だった。あぁ、そういえば仕事で何回か顔を合わせたことある人ばかりだ。
「紅玉ちゃん...。」
「ちゃん、会いたいとは思っていたけれど、こんな傷だらけの再開するとは思わなかったわぁ~。」
「うん。」
「本当に心配したんだからね!」
もう!とプンプン怒る紅玉ちゃんの頭を撫で、よしよしとあやす。
本当は、第一皇子の従者とはいえ、姫は姫なのでこんなに距離が近くてはいけないが、歳が近いこともあって紅玉ちゃんとは凄く気が合って、仲良く女子会する仲になった時にタメ口にしてと言われたのだ。だがタメ口とはいえ、場を弁える時はちゃんとしている。
「ごめんね、紅玉ちゃんも、他のみんなも。」
「そうでありますぞ!」
「殿がいない間、どれだけ仕事が大変だったと!」
「紅炎様もとてもご機嫌が優れない様子で.....。」
私が言うと、口々に皆が色々な事を言った。その中で紅炎様と聞いて心臓が跳ねた。
「皆、あの、まだ本調子じゃないから、ちょっと出て行って貰っても...?でも紅玉ちゃんとは少し、お話したいなぁ~なんて。」
そう言うと皆は直ぐに了承してくれて、出て行ってくれた。やはり煌には良い人も沢山いるよね。
「ちゃん?お話って...」
「特に何かあるわけじゃないけど、久しぶりだし、さ?」
「そうね!いっぱいお話しましょ!」
ぱぁっとお花が咲いた様に笑顔になる紅玉ちゃんにこちらの口元が緩む。相変わらず可愛いな。
紅玉ちゃんと、この私がいなかった1年間以上の間を埋めるように沢山色んなことを話した。何処行って、何してたーとか煌は今こういう状況でーとか。
「ねぇ、ちゃん。私とお話したかったのって、それだけじゃないんでしょう?聞きたいんじゃない?お兄様のこと...。」
「!」