第2章 懐かしい香り
「...きて。」
?
「.....て。...起きて。」
誰かが呼んでる...。
「ら、い...げん、...て。」
これは、
キュウ.....
「いい加減起きてよ!!!」
「ぐえっ」
勢いよくみぞおちに捨て身タックルによって、また最悪な目覚めとなった。
「キュウべぇ.....」
お腹を抑えながら飄々として私の上にいるキュウべぇをじとりと睨むと
「僕を睨むのはお門違いだからやめてくれないかな?」
と言われた。
「...だからって攻撃すんのはナシでしょ...。」
「君が起きないのがいけないんだよ。。君はもう2日間も寝ていたんだよ。」
「へー...。」
「それに僕は瀕死の君にグリーフシードを使った上、ちゃんとそのグリーフシードも処分したんだよ。」
「...」
「感謝して欲しいくらいだね。」
くそ、こいつ...。腹立つけど確かにキュウべぇがいなかったら私は魔力が尽きて魔女化していただろう。
「.....ありがと」
でも素直にお礼を言うのも嫌だったのでぽそりと呟いた。
「聞こえないな。」
もう返事するのもめんどくさくて、無視を決め込んでチェストにある果物に手を伸ばした時だった。
ガシャン
「殿!起きられたのですね...!」
知らない女性。だけどその手から落としたものには水が入っていた桶と思われるもの。
私を看病してくれた人だろう。
「良かったです、お目覚めになって!丸2日間寝てらしていたので皆様心配していたんです!今しがた、夏黄文殿をお連れ致しますね!」
私が返事をする間を与えず、その女性はさっさと落とした桶。拾って周りを拭くと消えてしまった。
「騒がしい女だね。」
「そうだね。」
キュウべぇと女性が出ていった扉を見つめてそう話していれば、ドタドタドタドタ!という音が聞こえた。
しかもそれは近づいてきていて、復帰早々胃が痛くなりそうだった。