第1章 始まり
ジュダルの氷はペリッと剥けて、あらなんということでしょう。あんなに大きかった氷のヤリが、お手軽で量産できるヤリに大変身。
「くらえ!!サルグ アルサーロス!!!」
その氷のヤリが一気にこちらに向かってきた。
「できるか分からないけどやってみるしかないよね...!」
玉艶さんにたまに魔法の事を聞きに行っていたことがあった。
その時に教えて貰った防壁魔法を広げる魔法。だがこれは私には高難易度過ぎてあの時はできなかった。
「防壁魔法!!!」
あの時の事を思い出して防壁魔法を広げる命令を送る。
防壁魔法は広がったものの、歪な上、小さかった。だが、少しだけ止めることができた。
ジュダルは狙ってやっている訳じゃないから被害も少なかったようだった。
「逃げろーーっ!!!」
「なんだよこれえぇっ!!?」
その上ちゃんと皆逃げている。良かった、これならなんとかなりそう...。
安心した時、またジュダルがこれを練習している時を思い出した。
「ヒィ~~ッ!」
「うわあああ!!」
ジュダルが練習するのに色んな所に氷を指すから、宦官達が悲鳴をあげて逃げてしまった。
私が仕事でお話していた官吏の方も.......。
「ジュダル!魔法の練習するのは良いけど、誰彼構わず魔法使うのやめてくんない!?仕事にならないんだけど!!」
「良いじゃねぇか仕事なんか。俺の魔法の特訓に付き合えよ!」
「嫌に決まってるでしょ!?てか、ジュダルも仕事しなよ!お偉いお偉い神官様なんでしょ!?」
ジュダルとは割と関わる機会が多かったが、喧嘩ばかりだった。別に嫌いという訳ではなかったし、普通に好きだったが、何処か馬が合わず、喧嘩してしまっていた。
まぁしない時は一緒に桃食べたり、魔法教え合ったりしてたし、喧嘩するほど仲が良い関係だった。
「うぐっ...!でも俺の仕事は親父共がやるから良いんだぜ!」
「そうやって人任せにして!ジュダルが仕事しないせいであの人たちの仕事は増えるし、ジュダルがその仕事しない時間で遊んで人に迷惑かけるせいでもっと仕事が増えるの!!紅炎様だって手を焼いてるし!」
「うるせぇ!俺に命令すんな!俺は好きにやるんだよ!」