第1章 始まり
「そりゃあ...私だって.....そうですけど.....!」
ジャーファルさんは不服そうに、というかなんで自分が責められているんだという表情でか細く言葉を発した。
「だろう!?この国を見て思ったんだ。あの自分のことしか考えんバカ国王よりも、俺は!自分が処刑されると言われても、スラムのために戦う気持ちを捨てないこいつらの、力になりたいと!」
「!」
「だから俺は、「霧の団」とともに戦うぞ!!」
シンドバッドさんの演説を聞いた霧の団はざわついた。
「なんだって!?王様が盗賊団に入るって!?」
「なんだあのオッサン...」
「頭おかしいんじゃねーのか?」
ば、馬鹿にされてる...
私は吹き出すのを堪えつつ、この後どうなるのかを引き続き見守ることにした。
次いでにチラリとカシムを見たが、彼は腑に落ちない様子だった。うん、まぁ、そりゃそうだ。
「フフフ」
「どうしたの?アラジン。」
「シンドバッドおじさんがおもしろいんだもの。
変わった人だねぇ~シンドバッドおじさんって。この人がとっても有名人になっちゃうのは、僕、わかるよ!
あの時から、おじさんは最後にはこうするつもりだったのかな?
とにかくおじさんがしゃべり出すとみんなおじさんを無視できなくなっちゃうんだよね。」
まぁ確かに。アラジンの言う通りだ。シンドバッドさん、あの人は人としての魅力が凄い。彼に心底興味ない私ですら、目を奪われてしまう。
凄いな、最近会ったアラジン、アリババ、シンドバッドさんと、皆そういうことをやってのけちゃう人だから。
うん、旅に出て良かった。生涯忠誠を誓ったあの人の元でずっと過ごすと思ってたけど、たまにはこうやって外で知らない人と知らないことをするのも良いよね。
「というわけで、今日から俺は、君たち「霧の団」の一員になるぞ!!」
「なんなんだ!?このオッサン...」
「.......どういうつもりだよ?一国の主であるアンタが、他国に介入するなんて、何か理由があるんだろ?」
「.....ただ、この国の民を助けたい!__と言っても、信じないか。」
「.....」
「そうだな...まぁ、他にも理由があるとすれば...それは...
「世界の異変」を、止めるためだ!」