第1章 始まり
「.....三人とも見ていてください。
厳しいですが...これが「義族」の末路です...
そんな盗賊たちの末路は.....
死しかありませ...」
ジャーファルさんが「死しかありません。」そう言い切る前に「だが!!」とシンドバッドさんの声が響き渡った。
「...んっ?」
ジャーファルさんは驚いた様で、シンドバッドさんを凝視した。
「だが、それでも戦うというのなら、
お前らにはもう一つ道が残されている。」
「.........んっ??アレッアレ...?」
「それは、自分たちに足りないものを他者で補うこと...
すなわち、この俺を「霧の団」の仲間にすることだ!!」
「.........?」
「.....?」
「.......ふっ」
「ええっ!!?」
思いもしなかったシンドバッドさんの奇想天外な発想にみんなハテナを浮かべる中、私はもう謎を通り越して笑ってしまった。
「メリットはあるぞ。
俺のシンドリア国を、「霧の団」のバックに戦えるのだ。」
「.....!!?」
「シン...戦う?」
「ああ。」
「バルバッド国軍と?」
「ああ。」
「あなたが「霧の団」に入って?」
「ああ。」
ジャーファルさんが質問責めにするもシンドバッドさんは「ああ」の一点張り。この面白い展開に若干ついてけない...。
「.....それはおかしい。「霧の団」は倒すべき敵です。
貿易再開のため、アブマド王とも約束したではありませんか。」
「だが、俺は「霧の団」に味方したくなったのだ...」
「あなた、言ってることが変わってますよ!!
「盗賊はどんな理由だろうとだめ」って最初に決めたじゃないですか!!」
ジャーファルさんがそう叱咤するとシンドバッドさんは静かにため息を吐いた。
「ジャーファル君.....................................
お前はなんって冷酷な男なんだ!!!」
「えっ...ええっっ!?」
「最初に決めた!?それは、無知だった俺がはじき出した過去の未熟な答えだ!あの後お前も知っただろう。この国の惨状を...飢えた母子を、武器を手にした少女を。それをあざ笑う腐った貴族を。それでもなお、お前の心は少しも動かなかったというのか!!?なんてひどい奴なんだ君は!!!」