第1章 始まり
魔女を倒し終え、直ぐに向かうと、モルジアナとジャーファルさんが黒い霧に押しつぶされていた。
「「霧の団」だ!」
「!!
ウーゴくん!!」
倒れていたアラジンはジャーファルさんの声でハッとすると、笛を吹いてウーゴくんを呼び出した。
いきなり現れた青い巨人に霧の団は「化けもんだ...!!」と怯えていた。まぁそりゃびっくりするわな。
「ここは通らせないよ!」
「アラジン!私も加勢するよ!」
「さん!今までどこに!?」
「ごめん!霧で迷子になってた!」
それっぽい言い訳をついてウーゴくんの前に立てば、「ええ...」という様な視線を感じた。
...うん!気にしない!!
「よしいくよ、アラジン!.......アラジン?」
返事をしないアラジンを見ると、ボス的な人の前に立ちはだかった顔を隠した人を見ているようだった。
「.......あれ?」
「?」
「.........」
するとその男はいきなり顔の周りに巻いていた布を取った。
「アリババくん...?」
どうやら彼が例の探していたアリババらしい。
「これは何か訳ありってことでよろし?」
私の言葉には誰も答えず、空気に溶け込んだ。悲しい。
悲しいから黙って様子を見守っていればアラジンはアリババの言うことを聞いてウーゴくんをしまった後、アリババに会いに来た事を告げる。
「話したいことがたくさんあるんだよ!
あの時のことを覚えているだろう?
約束したもんね!」
嬉しそうな、キラキラした顔でアリババを見つめるアラジン。だけどその一方でアリババの顔は暗い。
「アラジン...
ごめん...
約束は、守れなくなったんだ。」
言われたアラジンの顔はこの世の終わりという様な絶望した顔。
幾ら彼がそれなりに強くても、まだ12歳位の男の子だ。それはあまりにも酷だろう。
そしてそこに襲いかかって来た空気を読まない国軍の援軍。
「厳格と礼節の精霊よ、汝と汝の眷属に命ず、我が魔力を糧として、我が意思に大いなる力を与えよ。
出でよアモン。」