第1章 カワイイ彼女
「ねぇ、ナナちゃん。
バレー部のマネージャーとか興味ないかな?」
部活終了後、赤葦のジャージを受け取ったナナちゃんを更衣室に案内する。
「マネージャー……?
わ、わたしがですか!?」
「そ。
今日思ったんだけど、ナナちゃんが居ると赤葦も調子良いみたいだし。
赤葦が調子良いと、うちのエースが絶好調だからね。
今居るマネは皆今年限りで引退だし……どう?」
「か、考えたいです」
「分かった。
良い返事期待してるわね」
着替えを終えて、歩いていると赤葦と木兎が待っていた。
「ナナ、おいで」
「うんっ。
あ、センパイまた明日!
さっきの話ちゃんと考えておきますね」
ニコニコ笑うナナちゃんに手を振る。
赤葦が、照れるナナちゃんの手を強引に繋ぐのが見えて胸が痛んだ。
良いなぁ……私も赤葦と手繋ぎたい。
ドロドロとした感情に支配される。
「どーした?」
頭に乗る大きくて温かい手。
木兎の、強力なスパイクを放つあの手。
「なんでもないよ!行こ?
どこで勉強するの?ファミレス?」
「ん?俺ん家ー」
「え、こんな時間に!?お邪魔じゃない?」
「ぜんっぜん!心配すんなって!」
「分かった。
親には遅くなるって連絡しておくね」
「おう」
木兎の家に着き、部屋に案内される。
「お邪魔しまーす……」
「適当に座っててくれ。
飲み物取って来るー」
「ありがとう」
部屋に行く途中で会ったご両親はとても気さくで、明るかった。