第1章 カワイイ彼女
「さ、準備万端だ!始めようぜ」
「そうね。
じゃあまず教科書とノートを出して……」
それから、木兎の正面に座り勉強を教えた。
「どう?なんとか分かった?」
「おー……ギリギリ」
「そっか、なら良かった!」
「まー、俺も行きたい大学あるし、これからは勉強も頑張らないとなぁ」
「え、大学!?
木兎大学行くの!?進学希望なの!?」
「おう」
「木兎はもう進路決まってるんだね」
「まぁなっ。
夏美は?どこの大学行くんだ?」
「私は就職なの」
「え、なんで!?
夏美頭良いじゃん。
俺てっきり進学するんだと思ってた」
「あはは、ありがと。
昔からやりたい仕事があってね」
「そっかー。
夏美も進学なら同じ大学誘おうかとも思ったけど、目標決まってんならしょうがねーな!
俺が大学受かったら赤葦も誘おうと思ってんだ。
また大学でもトス上げて貰いてぇし」
「受かると良いね」
「コラ、俺は絶対!合格!するの!」
「ふふ、そうね。
流石はうちの大エース、そう来なくっちゃね。
受験勉強手伝ってあげるよ。
もちろん私の就活が優先だけどね」
「まじで!?
サンキュー!」
木兎の顔が輝く。
木兎はいつだって直球で、嘘がつけなくて、前だけを見ている。
そんな素直さを見ていると、時折自分の性格に引け目を感じてしまう。
赤葦のこともそう。
多分木兎なら、正々堂々正面からぶつかって行くんだろうなぁ。
なんて、最近良く考えてしまう自分が居る。
「木兎は良いね、いつも真っ直ぐで」
「そうかー?」