第9章 きす。
「ね、センパイ……」
「ん?」
人が居なくなり、顔色を伺うように声を上げたナナちゃん。
「忘れ物?一緒に行く?」
「あ、違くて……。
センパイって、エッチしたことありますか?」
「へ!?」
顔を耳まで赤くして、小さな声で尋ねる。
ナナちゃんからそういう話題を振って来る日が来るとは思いもしなかった!
部屋が静か過ぎて、隣の部屋の物音がやけに大きく聞こえる。
「わたし、変なんですか!」
「ナナちゃん?何かあったの?」
涙で目がウルウルしている。
「気持ち良いのにナナ、イク?が出来なくて……。
なんか悲しそうな顔をさせちゃうし。
わたしの身体、やっぱり変ですか?」
「……変じゃないよ、おかしいことじゃない。
初めてだったんでしょ?
なら中々イケなくて当然。
焦らなくて良い、ゆっくりで良いの。ね?」
「ほんと……?」
「本当、私も初めての時は中々イケなかったから」
「良かったぁ……」
「落ち着いた?ならお風呂入ろっか」
「はい!」
笑顔になったナナちゃんを促して、浴室に入る。
「おそーい、何か忘れ物?」
「そうなの。
取りに行ってたら思ってたより時間掛かっちゃって!ごめんね!」
「いいよ〜」
ゆっくりと湯船に浸かり、他の皆より少し遅れてお風呂から出た。
「大丈夫?ナナちゃん」
「はい!」
皆に身体を触られ続け、くたびれた様子のナナちゃん。
まぁ、あの胸だと触りたくなる気持ちも分かる。
脱衣所から出ると、ちょうど光太郎達と重なった。
でもなぜか、顔を逸らされる。
「なんで顔逸らすの?何かあった?」
「脱衣所での会話、聞こえてたから動揺してるだけですよ」
コソッと耳打ちをする赤葦。
「え、それって、もしかして……!」
光太郎の反応と赤葦の表情で悟る。
「嘘……!!」