第8章 俺、嫉妬深いって言いましたよね
「誰が黒尾さんだって言いました?」
「へ?」
「まぁ黒尾さんも、ですけど。
あなた月島に興味持たれてますからね」
「それは赤葦の彼女だから、でしょ?」
「さて、本当にそうでしょうかね。
あまり男の言葉を鵜呑みにしない方が良いですよ。
男は皆狼なんですから」
「赤葦も?」
まぁ、エッチは激しいけど。
「俺だって男ですよ?
気づいてますか?
今も夏美さんのこと襲いたいの、必死に我慢してるんです」
その言葉に、キュンと下腹部が疼く。
あぁ、私ってばなんて単純。
「エロイ顔になりましたね。
その気になっちゃいました?」
「……ばか」
「おーい、あかーし!夏美ー!」
「木兎さんが呼んでるんで戻りましょうか」
「そうだね」
赤葦が離れていく。
温もりが、匂いが、名残惜しい。
「そんなに寂しそうな顔しないでください。
離したくなくなるでしょう?」
「離さないで?」
「ほんとあなたは……」
「んっ……」
「声、出しちゃダメですよ」
重なった唇。
「っ、ふ……っ、ん」
赤葦の唇がいつもより熱くて。
心が、頭が、蕩けていく。
「はぁ……あかあし……」
続きを強請るように、身体を密着させる。
喉の鳴る音がする。
続き、してくれる?
「っ……先、戻ってください」
「だめ?」
「ダメ、戻って」
「……はぁい」
しょんぼりしながら、倉庫に赤葦を残して戻った。