第8章 俺、嫉妬深いって言いましたよね
「あっ、夏美発見!!赤葦は?」
「赤葦ならまだ片付けしてるよ」
「ふーん」
「夏美さーん!連絡先交換してください!」
「リエーフくん、いつの間に来たの?
あ、連絡先ね、良いよ」
さっきまで居なかったリエーフくんに驚きながらも、携帯を取り出し、画面を開く。
その様子をジッと見つめるリエーフくん。
「夏美さん」
「んー?」
「めっちゃエロイ」
「は、い?」
その言葉に、動きが止まる。
リエーフくんの声は大きく良く通るからか、体育館に居たメンバーに筒抜けだ。
「だって!
目ぇ潤んでるしなんか顔赤いし……欲情してる?
俺、誘われてる?」
「へ!?な、ちが!」
確かに赤葦とのキスで気持ち良くなってたし、もっとして欲しいと思ってたけど!
「夏美さん、可愛い」
「や、待って、だめ」
顎を掴まれ、上を向かされる。
「ダメって顔してない」
どんどん距離が縮まる。
「あ、や、ほんと、まって」
「待てない」
あと1cm程で唇が触れ合いそうな距離になった時。
諦めて、ギュッと目を瞑った。
「んッ!」
唇に触れたのは、柔らかくなくて。
その感触に違和感を覚えて、うっすらと目を開ける。
「……何すんの、ツッキー」
月島くんが、私の後ろから手を伸ばし、唇を掌で覆っていた。
「それはこっちのセリフなんだけど。
手とはいえ、男にキスされても嬉しくないから」
キスされなかった……。
ホッとして肩の力を抜く。
肩の力と同時に身体の力も抜けたようで、後ろに居る月島くんに寄り掛かる形になった。