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【ハイキュー!!】甘い悪魔に唆された

第1章 カワイイ彼女


「ナナ!」
「京治くん」
「こんな時間に体育館来るなんて珍しいね、見学?」
「うん、そう。
京治くんのバレーしてる姿見たくて……」
「そっか」


頬を染めるナナちゃんに、優しく笑いかける赤葦。
嫌だ、そんな顔、見たくない。
その子に向けないで、全部私に向けて。


「あれ、脚怪我してる。
転んだ?」


喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
ダメ、今そんなこと言ったら、全部台無し。


「あ……えと、これは……」


目に見えて焦り始めるナナちゃん。
嘘の1つもつけないの、この子。


「ゴメン、赤葦!
体育倉庫から出た時にぶつかっちゃって、怪我させた」
「前見てなかったんですか?」


赤葦の目が、真剣で怖い。
いつもの能面のように無表情じゃなく、目が細められて眉間にシワが寄っている。


「ゴメン、まさか人が居るとは思わなくて!
今から手当てするとこなの」
「……分かりました」


ナナちゃんを連れて、準備室に入る。
そこには軽い救急セットが用意されていて、脚を手当てする。


「センパイ、どうしてあんな嘘を……」
「さっきのこと知られたくないんでしょ?
ならちゃんと隠さないと!」
「でも、あれじゃ先輩が悪者みたいに……」
「赤葦が、たった1回の事故で人を差別するように思える?」
「……思えないです」
「でしょ?だから大丈夫!
ナナちゃんはいつも通り笑ってなくっちゃ!ね?」


そんなの、嘘。
たった1回でも、今の赤葦の様子を見れば分かる。
確実に今までの私とは違う気持ちで来る。
大切な大切な彼女が怪我させられたら、ね。


「手当てありがとうこざいました!」
「ん、どう致しまして!
椅子持って来るから、そこに座って見学してね。
あ、でも流れ球にだけは注意して」
「なが……はい」
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