第6章 知ってましたよ、そんなこと
翌日。
憂鬱過ぎて、学校を休んだ。
光太郎にも、赤葦にも、ナナちゃんにも誰にも会いたくない。
会ったら泣いてしまいそうで、隠し通せる自信がない。
『木兎さんと喧嘩でもしたんですか?
ずっとしょぼくれモードで練習になりません』
午前中に入った赤葦からのメッセージは、光太郎の不調を訴えるものだった。
『喧嘩するのは悪いことじゃないとは思いますが、部活には持ち込まないでください。
木兎さんも、瀬名さんも』
瀬名さん、か。
また距離出来たな……まぁ当たり前か。
っていけない!
スッパリ諦めないと!
「ごめん、実はちょっと喧嘩しちゃって。
ちゃんと解決するから」
そう、返信した。
解放するって言ったって、どうすれば良いのか分からない。
「後味悪いなぁ……」
私の撒いた種だし、自分だけが苦しむつもりだった。
それなのに光太郎にまで背負わせてしまった。
最低過ぎる。
溜め息と重なるように鳴り出す携帯。
「もしもし」
『俺です』
「……赤葦」
なんでこんな時に、よりによって赤葦から……。
『今、家ですか?』
「え?うん」
『俺、今あなたの家の前に居ます。
直接話したいことがあるので、部屋に入れてくれませんか?』
「え……?」
家の前に居る?私の?
直接話したいことって何?
もうナナちゃんに近づくな、とか?
いや、俺に近づくな、か。
そんなの言われなくても分かってるから……。