第6章 知ってましたよ、そんなこと
まだ遊びたいと言った光太郎を、無理矢理私の家に連れ込んだ。
ごめん、光太郎。
これで最後にするから。
これで解放してあげられるから。
もう私になんて縛られなくて良いんだよ。
「光太郎……シたくなっちゃった」
だから最後に1回だけ、全部を忘れさせて。
光太郎のを舐めて、跨って自分で挿入して、腰を振る。
「はっ、どうしたんだよ」
「どうもしないよ?」
腰を振りながら、固く瞑った目からは涙が零れる。
胸の痛みが、快感を上回る。
全然忘れられてないじゃない。
「なぁ、今日どうしたんだ?」
「光太郎……」
「ん?なんか悩みごとか?」
「別れよう」
「え……?」
「別れよう、私達。
やっぱりこんな関係無理よ」
「なんでだよ!俺は付き合ってたい。
赤葦と付き合うのか?
だから別れるって言うのか?」
「赤葦とは付き合わないよ。
距離を置く、ちゃんと諦める」
「なら、なんで……」
「私の都合で光太郎のこと縛ってちゃダメだと思ったの。
光太郎にはきっとすぐ良い人が見つかると思うから、だから……」
「んだよ、それ。俺の意見は全部無視か?
俺は夏美と居たい」
「もう、無理なの、私には……」
「……そうかよ」
「うん、ごめんね。木兎」
「おー」
背を向ける光太郎の背中は小刻みに震えていて。
また傷つけた。
本当、最低よね……。
誰も幸せにならない最悪な結果。
私だけが傷つけば十分なのに、欲張ったせいで……。