第5章 Wデート大作戦
「決まった?ナナちゃん」
他の水着を見てる光太郎を置いて、先にナナちゃんの元へ戻る。
「センパイ……!」
明らかにホッとした表情。
何かあったのかな。
「ナナちゃ……」
「あーらら、センパイなの?
君も一緒に遊ぼうよ」
げ、ナンパ……。
「彼氏と来てるの。だから無理よ」
「女の子放っておく奴なんか捨てちまえって〜。
俺とイイコトしようぜ。な?」
肩に手を回される。
馴れ馴れしいなぁ、この人。
「……何俺の彼女に触ってんの?手ぇ離せよ」
後ろから現れた光太郎。
私の肩に回った男の手を払い退け、胸の中へと抱き込む。
「俺のだから」
ギュウギュウと力を込められる腕。
「チッ……」
舌打ちして、男が去って行く。
「ありがとう、光太郎。たすか……」
「何ナンパされてんだよ」
「はい?」
え、何、私が悪いの?
「気安く身体触らせんなよ!」
抱きしめられる腕の力が強くて、痛い。
「そんなに俺を妬かせてーの?
嫉妬させて楽しい?面白いか?」
「何よ、全部光太郎が私から目を離すのがいけないんじゃない!」
売り言葉に買い言葉。
つい言い返してしまった。
「確かに俺も目ぇ離して悪かったけど、夏美もなんで肩触られて嫌がらねぇんだよ。
そんなにヤられたかったのか?」
「すぐそういうことに繋げないで!
いきなりだったから反応出来なかったの!」
謝るタイミングを、完全に逃した……。
これじゃあヒートアップする一方じゃない。