第5章 Wデート大作戦
「……ムカツク」
「え?いたッ……」
ガンッと身体をドアに押しつけられた。
「光太郎?」
「昨日……体調不良で早退したって赤葦に聞いて、俺がどんな気持ちだったか分かるか?
連絡もねぇし、俺のこと好きじゃねぇとはいえ、彼氏なんだぞ。
なのに赤葦の方が知ってるなんて、変だろ……」
「光太郎……」
「昨日は赤葦からすげぇ夏美の匂いがするし、なんでだ?」
「っ……」
「ヤった?赤葦と」
「……ごめん」
「はぁぁーっ……まじかよ」
深く大きい溜め息。
「じゃあ赤葦と付き合うの?」
「え?」
「えって、ヤったんだろ?」
「シたけど、付き合わない。
だって赤葦にはナナちゃんが居るし……」
「ふーん、意外と諦め良いんだな。
寝たなら、そのまま寝取っちまうかと思った」
「そんなこと出来ないよ」
私が幸せなのが1番だけど。
赤葦から笑顔を奪いたくない。
赤葦が好きになってくれて、ナナちゃんが別の人を好きになるまでは、付き合えない。
「ふーん」
「へ?」
「ぜーんぶ声に出てたけど?わざと?」
笑いを堪え切れていない光太郎。
物凄く恥ずかしい……!
「消えたい……」
恥ずかしさで顔に熱が集まる。
「にしてもあの赤葦がな。
付き合ってねぇ相手には手出さねぇと思ってたのに!」
「ごめんね、光太郎」