第5章 Wデート大作戦
「んっ……く、ん……」
光太郎のお腹に手をついて、ゆっくりと腰を振る。
「そんなんじゃ全然イケねーけど?」
「……ごめん」
光太郎の冷たい言葉に、胸が傷んだ。
なんか、泣きそう。
「……泣くなら腰振って」
「ご、ごめ」
光太郎のこと利用してるから、本来ならこういう態度で当たり前なのに。
実際に冷たい態度を取られると、心が痛い。
涙が零れないようにキュッと目を瞑り、必死に腰を動かした。
早く、イッてくれれば……解放される。
いつもの優しい光太郎に戻る?
そんな思いだった。
「夏美……イキそ」
「んっ、うん……」
「はぁっ……!」
震える木兎。
吐き出される熱。
冷めきった心。
「後片付け、やってくれるよな?」
「……うん」
自身をナカから抜き去り、かぶさっていたゴムを捨て、光太郎に残る精液をティッシュで拭って捨てた。
ベッドに横になり、背を向ける光太郎の後ろで自分の後処理をした。
「……今日、どうしたの?」
いつもの光太郎じゃなかった、と告げても返って来る言葉はなし。
「……ごめんね、私に何か不満があるんだよね。
私鈍いから気づけなくて、今日は帰るね!」
早口に告げる。
じゃないと、泣いてしまいそうだったから。
急いで服を着て、部屋を出ようとドアノブに手を掛けた。
「逃げんのか?」
「逃げるって、だって……」
背中に掛けられた声。
その声音は相変わらず固くて低い。