第3章 カワイイ後輩、憎い後輩
「私ね……ナナちゃんのこと、最初は好きじゃなかったのよ?
イジメようとは思わなかったけど関わり合いたくないと思ってた。
ね?赤葦の言った通りの人間でしょ?
小柄で、ふわふわしてて、甘え上手で、声が高くて。
私が欲しいものを全部持ってた、嫉妬してた。
でもね、ナナちゃんの人柄に触れてそれは変わったの。
本当に優しくて、気がつくと嫌な感情はなくなっていった」
完全になくなった訳じゃないけど。
だって赤葦のこと、まだ好きで、落としたいと思ってるし。
「だから気にしないで!
赤葦が今まで私に抱いてた感情はあながち間違ってなかったから」
「ありがとうございます」
ホッとしたように微笑む赤葦。
その顔を見て、いつもの笑顔は作れなかった。
「そういえば、木兎さんと付き合い始めたみたいですね。
おめでとうございます」
「え?あ、ありがとう」
唐突な話題の変化に、驚いた。
赤葦からそういう話題を振っているところを見たことがない。
「……俺はてっきり、瀬名さんは俺のことが好きなんだと思ってました。
だってよく見てますよね、俺のこと」
バレていた……。
これは計算外、計画にも狂いが出て来るかもしれない。
「でもそれは俺の勘違いで、実際には俺越しに木兎さんを見ていたんでしょ?
直視出来ない程に好きなんですか?木兎さんのこと」
顔を覗き込まれる。
赤葦の顔が、近い。
もう少しで息がかかりそう。
「顔真っ赤、そんなに好きなんですね」
クスクスと笑う。
顔が赤いのは、赤葦の顔が近いからよ、ばか。
なんて心の中で悪態をつく。