第3章 カワイイ後輩、憎い後輩
「赤葦がそういうこと言うとは思わなかった!」
「俺、ちゃんと伝えますよ。
不安にさせたくないですから」
「赤葦カッコイイ!」
いつもの笑顔で、いつものノリで、赤葦の肩を軽く叩く。
「……このあと、時間ありますか?
少し話がしたいです」
話という言葉に、心臓が大きな音を立てる。
嬉しいことなのか、はたまた嫌なことなのか。
「うん、大丈夫。赤葦こそ授業は?」
「一限くらい問題ありません。
瀬名さんこそ単位落とさないでくださいね」
「大丈夫!そこそこ真面目だから」
体育館を施錠して鍵を顧問に返しに行く。
そして教室には戻らず、屋上へ向かった。
その間に会話はなく、重たい空気が流れる。
「瀬名さん」
「な、なに?」
「ナナから聞きました。
イジメからナナを守ってくれてありがとうございます」
深く頭を下げる。
「ちょっと、赤葦?頭上げて!」
「俺、てっきり瀬名さんがナナに怪我させたのかと思って……勝手に怒ってました。
すみませんでした」
「うん、知ってる。
ナナちゃんのことを大切に思ってるなら、当然の気持ちだと思うよ」
「ナナが瀬名さんと仲良くしないで欲しいって言ったのも、瀬名さんに嫌がらせされてるのかと思ってました。
そんなことする人じゃないのなんて知ってるのに……」
「そんなことする人じゃない、か……。
そんなの分からないわよ、誰にも」
実際、2人の関係を終わらせようと企んでいるし。