第3章 約束
わたしは,才蔵さんに手を引かれ、
お城から、城下にある才蔵さんの住む古いお
寺に、連れて行かれた。
才蔵さんは 、褥が引っぱなしの部屋にわたしを連れて来ると、のんびりと褥に胡座をかいた。
「俺の前に立って」
「え?才蔵さんの前に立つんですか?」
「うん」
訳も分からないまま、才蔵さんの前に立つと才蔵さんが言った。
「脱いで」
「え....?才蔵さん?脱ぐって、着物をですか?」
「うん、脱いでよ。早く」
「出来ません!そんな事!」
「ふーん、脱がないわけ?」
「だって、立ったまま脱ぐなんて無理です!」
「なんで?」
才蔵さんは、切れ長の目を細くして、冷ややかに、わたしをじっと見ている。
「手があるじゃない。脱いでよ。早く」
「無理です。そんな......!」
(才蔵さんにまざまざと、見られながら着物を脱ぐなんて)
「脱がないの?お前さん突っ立ったままだけど?」
わたしが 立ったまま、何も出来ないでいると、才蔵さんが、言った。
「じゃあいい。お前は、立っててよ」
そう言うと才蔵さんは、すっと、わたしの横に来て、わたしの着物の帯にに手をかけると、するすると器用に解き、あっと言う間にわたしの肌が露わになった。
きゃっ!!!
と思わず叫ぶと、わたしの身体がふわりとし、
気付くと、わたしは、露わに着物のはだけたまま、才蔵さんの腕の中に閉じ込められていた。
才蔵さんは、妖艶に光る目でわたしを見つめながら、指先でつーと、わたしの唇をなぞった。
背中に甘いぞくりとした痺れが走る。
「今度、お前さんが、他の男から貰った物を 、いっこでも付けてたら、許さないよ。分かってるよね?」
才蔵さんは わたしの耳元で低く掠れた声で囁いた。
「約束の返事は?」
「はい。分かりました」
わたしが素直に言うと、才蔵さんは、わたしを褥の上に押し倒し腕を押さつけたまま言った。
「今日は、手加減しないよ。我慢したくないから」