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第2章 1.01 横浜
ーーーこれは…海の匂い…?
緑色のパーカーのフードを目深に被り、城壁で意識を失っていた人物は嗅ぎ慣れない匂いで目を覚ました。
そして直ぐに耳元のインカムを触り、警備担当の人物に繋げる。
「もしもし、ロボロ?聞こえる??」
暫くすると先程まで怒号を発していた人物がボーッとした声を発した。
《…なんや、今の…。こちらロボロ、ゾム聞こえとるよ。…カメラが反応せんくなっとる。直ぐに復旧かけるわ。ゾム、そっちの状況は?》
そう云われ、ゾムは辺りを見渡した。すると…。
「な、んや、これ…。おい、ロボロ。周り、ぜーんぶ海に囲まれとるで。」
多少驚きはしたが直ぐに平静を取り戻しロボロに状況を伝える。
《は?ゾム何寝ぼけとんねん。んな事ある訳ないやろ、っと、今カメラ復旧したで〜。……は?》
カタカタという小気味よい音がなり止むと同時にロボロはそう言い、そして言葉を失った。
「な??周り海やろ??」
ゾムはそう言いながらとにかく城内に戻ろうと城壁を駆け抜ける。
《…とにかく、グルッペンの所に集まろう。おい大先生、何時まで寝とんねん!はよ目ぇ覚まさんかい!!》
またもロボロの怒号が聞こえたと同時にドンっという鈍い音がし、“あぁんっ”と言う気持ち悪い声が聞こえた。
《俺はここで警備システムのチェックと復旧するから、大先生はグルッペンの所にいってこい。》
ロボロがそう言うと“なになに?緊急事態?”と間抜けな声が聞こえ、“ええからさっさと行ってこい!”と言う怒号と鈍い音が再びきこえた。
其れをBGMにダクトを通ってゾムは或る人物の部屋へ向かう。
「チッスチッス!グルッペン、起きとる??」
そして部屋に着くと、ダクトから顔を出しその部屋の主、否“この城”の主に声をかけた。
そこには既に数名が集まっており、その中の一人、赤いマフラーをして深緑の軍服に身を包んだ人物が、額に青筋を立てながら言葉を発する。
「これは一体どういう事ですかねぇ…!?グルッペン?」
その様子に顔を青くしながらグルッペンはスっとダクトの方に指を刺した。
「ゾ、ゾムに聞いてクレメンス…。」
それを聞いた赤いマフラーをつけた人物は、淡い青色に光る剣を握りながらダクトから顔を覗かせるゾムに一言。
「ゾム、あとで粛清やからな。」
それを聞いたゾムは、思わず体制を崩してダクトから落ちた。