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第7章 2.01 発端
グルッペンのその言葉に杏は少しだけ安堵の表情を浮かべた。
太宰は暫く考えたあと、今後の事について意見を述べる。
「お姉さんを探す事が、1番解決に近いでしょうね。…それから、紗倉さんのご家庭など、お姉さんに関係することを見せて頂いても宜しいでしょうか?」
杏は大きく頷くと“後でお連れします。”と答えた。
「では我々は当初の予定通り、先ずは戦争回避の為に話し合いをするとします。…これにて会議は終了だ。各自自分の持ち場に戻って良し!」
グルッペンはそう言うと、嬉々とした表情で茶菓子のショートケーキへとフォークを伸ばし、口に含んだ。
太宰、敦、杏以外の面々は、それぞれ煙草に火をつけたり椅子から立ち上がったりして、自分の持ち場へと戻ろうとする。
敦がソワソワと落ち着きなくしていると、コネシマが声を掛けた。
「敦!折角やし、ちょっと城の中案内したろか!」
その言葉に敦は瞳を輝かせる。
「いいんですか!!?」
敦のあまりに嬉しそうな反応に、コネシマはガハハと笑うと、“ええで!!!”と満面の笑みで答えた。
敦はそのままの表情で太宰へと顔を向け、可否を伺った。
「いいよ、行っておいで。」
太宰が敦のあまりの嬉しそうな顔に、少し困ったように笑いながら答えると、敦は更に瞳を輝かせコネシマ、シャオロン、ゾムと共に会議室を後にした。
気づけば会議室には、グルッペン、トントン、オスマン、太宰、杏のみとなっており、急に静かになる。
その空気に杏は耐えられずカタカタと震えながら紅茶に口をつけた。
その様子にオスマンは吹き出しそうになるのを必死に堪える。
「…さて。喧しい奴らも退席した所で、現実問題、ポートマフィアと戦争になった場合、うちの勝率はどのぐらいのものですかな。」
グルッペンが真剣な顔付きで尋ねると、太宰は少し考えた。
「…此方の方々は戦闘技術も頭脳も、とても高いように感じられます。…ですが、ポートマフィアは数が多い…。出来ることなら、やはり戦争は避けた方がいいでしょうね。」
太宰の言葉に、グルッペンはやはりかと言うように息をついた。