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第6章 1.05 対面
太宰の言葉に驚きながら、杏はおずおずといった様子で頷いた。
「は、はい。此の方達にもお話したのですが、何となく作った物を猫さんに奪われてしまって…。そのまま…。」
そう言うと、杏は自分の膝へと視線を落とした。
「な、何となくでそんなことが…。」
敦は頬を引き攣らせる。
「昔、お姉ちゃんがそういう話をしていたので…。私の異能力も組み込んだらできるかなって…。」
杏は視線を落としたまま話す。
「その辺の話は、また後で聞かせてもらおう。…まずは、これからどうするかと、ポートマフィアへの対応だ。」
太宰は杏を見た後、グルッペンへと視線を移した。
「…ふむ。帰る術が今の処ない為、暫くはこちらに滞在させて頂くことになるだろう。もちろん、この街へ危害を加えようと云うつもりは全くない。…しかし、まあ。彼方が手を出してくるのであれば、此方はそれに応じる迄だ。」
グルッペンはそう答えると、ニヤリと笑う。
その姿に、他のメンバーの内の何名かも、やってやらんとばかりの表情をした。
それを見て、トントンは頭に手を添えて溜息をつく。
「そんなっ…!ポートマフィアと戦おうなんて無茶ですよ…!あなた方は全員で15名しかいませんし、ましてや異能力も無いのに…!」
敦は信じられないと叫んだ。
「人数については不利だろうが、異能力については問題ない。其所の杏が異能力で我々が異能力をもつことが出来るようにしてくれた。」
その言葉に、太宰と能力発動時にその場にいた人物を除いた面々がグルッペンを見て固まった。
「…それは、どういうことかな?」
太宰は杏に再び視線を向けると、少しだけ怪しむように尋ねた。
「…っ!え、えとっ…こ、此処の人たちは皆さん、個性が強かったので…私の異能力でこの世界に適応させたら、異能力として出るかなって…思って……すみません…。」
杏は言い終わる頃には背中を丸めてすっかり小さくなっていた。
それに太宰が答えようと口を開けた時、別の人物が言葉を発する。
「それほんまなん!?つーことは俺らもあの不思議な技使えるんか!!?」
コネシマは椅子から立ち上がると、杏へと思い切り身を乗り出し、もの凄い勢いと声量でそう尋ねた。
杏はそれにビクリとする。