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【文スト】ボタンを押したら飛んじゃった【wrwrd】

第6章 1.05 対面



「だとしても、誰がどうやってそのボタンで転移するようにしたんでしょうか…。」

敦の最もな疑問に、グルッペンが答えた。

「その件についてなら、既に此方で把握することができました。この場にいる杏という少女が……む?ゾム、杏は何処だ??」

すると、グルッペンは話にでてきた少女の存在がないことに気づき、ゾムに声をかけた。

「え、俺と一緒にグルッペンについて此処に入ったけど。…あれ、ほんまやおらへん。」

ゾムと声を掛けられた人物も、キョロキョロと辺りを見渡したが、件の少女が見当たらない。

その様子を見ながら、杏は部屋の隅で“やってしまった”と呟いた。

(思わず異能力でこの場に私がいる事に皆を適応させて、存在消しちゃってた…。)

杏はどのタイミングで姿を現そうか頭を悩ませた。
しかし、或人物のひと言でその考えが飛んでいく。

「失礼。その杏という少女は、そこの部屋の隅にずっといる子の事かな。」

太宰はそう言うと、スっと部屋の隅を指さした。
その様子に、ひとらんらんはビクリとする。

「だ、太宰さん、冗談はよして下さい…。」

敦もひとらんらんと同じく別の物を想像したのだろう。顔を青くして太宰に目を向けた。

「違うよ敦くん。何らかの異能で、姿を消しているのだろう。…君、隠れていないで出てきたらどうだい。残念ながら、私に君の異能力は効かないよ。」

太宰がそう声をかけると、杏は異能力を解除して全員に認識されるようにした。
突如現れた少女に、数名がビクリとする。その中でも特に、ひとらんらんは涙目になりながら“ひっ…!”と声を出した。

「す、すみません…。この場に居てもいいのか不安になって、姿消しちゃいました…。」

杏はそう言うと頭を下げた。
するとオスマンは再び立ち上がり、“こっちめう”と言うと杏の手を引いて自分の隣の空いている席へ座らせた。そしてお茶を出す。
それに“ありがとうございます”とお礼を言う。

「僕の異能力は、異能無効化なんだ。…それで、君が此の人達が此処に来た原因、というのは本当かな?」
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