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第6章 1.05 対面
しかしその瞬間、エーミールへと向かっていたナイフは、床へと叩き付けられた。
そしてエーミールの目の前には、白い軍服に身を包んでマスクをした男が、刀を振り下ろしていた。
「…騒がしいと思ったら、何してんのキミら。」
その男は刀を構えたまま、コネシマとシャオロンに声を掛けた。
ナイフがエーミールに刺さらなかった事に、敦とショッピは息を吐く。
黒いオーラに気付いたコネシマ、シャオロンは動きを止め、周りを見渡した。
すると、エーミールの目の前にコネシマの投げたナイフが刺さっているのに気づく。
そこで二人は事の事態を知り、冷や汗をダラダラとかきだした。
「…ねぇ、何してんのって聞いてんだけど?」
答えを述べない二人に、尚もマスクの男は問いかけた。
あまりの迫力に件の二人はビクリとする。
その様子を見てショッピとエーミールは溜息を吐いた。
「い、いや〜、ちゃうねん、ひとらんらん!これはあれや!そう!訓練や!!訓練!!」
コネシマがそう言うと、シャオロンも“せやせや!”と首を全力で縦に振った。
「へぇ〜。訓練で怪我してる仲間に向かってナイフ投げるんだ?」
しかし、ひとらんらんと呼ばれた人物から黒いオーラは消えない。それ処か、コネシマとシャオロンの言い訳に更に濃くなった。
それを見て、二人は“しまった”という顔をする。
「「す、すみませんでした。」」
その言葉を聞いてひとらんらんは納刀した。
「謝るのはオレにじゃないでしょ。」
ひとらんらんに言われ、二人はそれぞれ“ごめん”、“すまんかった”とエーミールに謝罪する。
それにエーミールは、困ったように“いいですよ”と笑った。
「す、凄い…。よくアレを叩き落としましたね…。」
敦が呟くと、叩き落とした本人が答えた。
「いや、オレも驚いてる。咄嗟の事とはいえ、まさか間に合うとは思わなかった…。」
そう言うと、ひとらんらんは自分の手を見た。
その様子を、太宰は静かに見守る。
暫くすると、要塞の奥からトントンが歩いて来るのが見えた。
「おうトントン!帰ったで!」
コネシマは、ニカリと笑って手を挙げた。
「お前ら、また何か騒いどんか…。エミさん、怪我は大丈夫か?ショッピ君悪いんやけど、救護室までエミさん運んだってくれ。」
トントンはそれに右手を挙げて応え、エーミールへと声をかける。