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第5章 1.04 武装探偵社
太宰の言葉に敦はキッと顔を顰めた。
「…っ、芥川…!!」
そう呼ぶと、敦は拳を握る。
「シャオさん、今そっちに向かってます…!エミさんの状態は…!」
ショッピは走りながら通信を続ける。
«ーーーっ、すみません、ガバりました…!»
するとインカムからはもう1人の声がした。
「エミさん!怪我はっ、大丈夫なんですかっ…!?」
ショッピはそれに答えると少し安堵した表情する。
«シャオさんが咄嗟にシャベルで軌道をずらして下さったので、左脚に掠っただけですよ。…自力で動くのは難しいですが…。»
コネシマにも繋がっているのだろう。少しだけ息を吐くのが見えた。
「もう直ぐ着くので、待っていてーーー!?」
ショッピが言いかけた瞬間、ズドンと大きな音が鳴る。
「こっちだ!!!」
太宰が呼ぶと同時に曲がり角を曲がる。
するとそこには、左脚を負傷した男を庇うように、ニット帽を被り、その場に不釣り合いであるシャベルを構えた男がいた。
「エミさん!シャオロン!」
コネシマはその様子を見て声を掛ける。
「ーーーっぶなっ…!エーミールすまん!思わず投げ飛ばしてしもうた!!」
シャベルを持った男は、警戒を解かずに一言謝る。
それに対してエーミールと呼ばれた男は“だ、大丈夫です…”と右手を挙げる。
その様子を見たショッピは、直ぐ様エーミールに駆け寄り怪我の具合を見る。そして慣れた手つきで応急処置を始めた。
「聞いてたのより怪我酷くないですかねぇ?後でペ神にちゃんと手当てして貰って下さいよ。」
そう云うと、止血の為にしては強過ぎるであろう力でサラシを絞めた。
エーミールは“いっっ…たい!!”と言いながら顔を顰めてお礼を言う。
その間に、太宰、敦、コネシマはシャベルを構えるシャオロンと肩を並べた。
すると、砂埃の向こうから黒い影が姿を見せる。
「ーーーゴホッ…ゴホッ…。僕から逃げようなど愚かな事だ。貴様らの目的など僕は興味も無いが、首領の命令だ。大人しく捕縛されよ。」
その声を聞いて、敦は両腕を虎化し、戦闘態勢に入った。
「ーーー!芥川!!!」
敦が飛び出そうとするのを、太宰が手で制する。
「やあ、芥川くん。相変わらずポートマフィアの狗だね。…悪いけど、この人達は私達の依頼人なのだよ。手を引くんだ。」
それを聞いて芥川は顔を顰めた。