【文スト】ボタンを押したら飛んじゃった【wrwrd】
第5章 1.04 武装探偵社
探偵社のソファでは、ショッピとコネシマに向かい合うように、太宰と敦が座っていた。
ナオミがお茶を出すと、客である2人はぺこりと頭を下げる。
「それで、お二人の要塞がどうして横浜の海に…?」
敦は控えめに聞いた。
「それがやな〜、うちの城壁に変なボタンがあるのをゾムが見つけて、面白がって押してもうてん。そしたら気付いた時には海の上や。」
コネシマは腕を組んで困ったように言う。
それにショッピは補足をする。
「ボタンの出処を此方も探していますが、なんせ何の確認もせずに押して、そのボタンも今紛失してしまっている為お手上げです。その事で何か情報が得られれば、と。」
それを聞いて敦は顎に手を添えて考える。
「ボタン…ですか…。何かの異能力ですかね…?」
敦が太宰に目を向けると、太宰も暫く考える素振りをする。
「ボタンで物質を移動させる能力…。そんな物があったとして、今日まで表に出てきていないのは不思議だね。…君達は元々どこに居たんだい?」
太宰も見当もつかないようで、少しでも情報が得られるようにと質問をする。
「俺達は我々国っちゅう所で軍の幹部をしとんねん!つっても、メンバーは総統含めた15人やけどな。」
コネシマがそう言うと、太宰は何かを察したのだろう。デスクの回転椅子に座る乱歩に目を向けた。
それに気づいて乱歩は答える。
「そんな国、見た事も聞いた事も無いよ。…それ以前に、そんな国この世界に存在しない。」
その言葉にコネシマとショッピは目を見開く。
「んなことある訳ないやろ!総統含めた15人の軍で、近隣諸国食いまくってんねんで!?自分らで言うのもなんやけど今やうちを知らん奴なんて…!」
コネシマは思わず机をドンッと叩いて立ち上がり、一息で言い切る。
「こっ…んの、クソ先輩っ…!!」
その様子を見て、ショッピはコネシマの頭に拳骨を落とした。
えげつなく鈍い音に、敦は思わず目を閉じる。
コネシマは頭を抱えて蹲った。
「すみません。この人ただでさえ五月蝿いのに…。」
ショッピがソファに座り直して謝罪をすると、敦は“い、いえ”と引き攣った顔で答えた。
その様子を太宰は静かに観察する。
ショッピは確かにコネシマの無礼にも謝罪をしているが、それだけではないのだろう。
恐らく、自軍の力を余り知られたくない。
その心理を太宰は感じた。