【文スト】ボタンを押したら飛んじゃった【wrwrd】
第4章 1.03 異能力
総統室に通された少女は、居心地が悪そうに背を丸めていた。
突然、緑色の人が来たかと思えば、赤いマフラーの人にこっちにと言われ中に通される。
そしてソファーに座らされたかと思えば、目の前にはケーキと紅茶が置かれた。
さらには、ルキ用にも水が出される。
(わ、私って、一応侵入者とかになるんじゃ…。)
などと考えながらキョロキョロと辺りを見渡していると、目の前に座る金髪に黒の軍服を着た男性と目が合った。
それにビクリと反応すると、金髪の後ろに立つマフラーの人が溜息をつく。
「…グルさん、怖がっとるから、自己紹介したり…。」
呆れたようにマフラーの人が言うと、あぁ、という風に零した。
「これは失礼した。私はグルッペン・フューラー。この後ろのマフラーはトントン。こっちのケーキと紅茶を出したのがオスマンだ。」
それぞれ、紹介されると会釈をしたり“めう〜”と言ったりして挨拶をしてくれた。
「え、えと…。紗倉杏です…。あ、あの!早速で申し訳無いんですけど…。せ、戦争は、しないでくださいっ…!!!」
私のいきなりの戦争しないで宣言に、グルッペンさん、トントンさん、オスマンさんは、目を点にする。
「あの…皆さんがこうなったことの原因は、私、と言いますか…。その、変なボタン…押しませんでした…?」
私がそう言うと、上からさっきの緑パーカーさんが……上から…?
「あぁ、それなら俺が押したで!俺ゾムってゆーねん!よろしく!」
ダクトからゾムさんが顔を出して答えてくれた。
「…きゃあああああっ!!!!?」
私が思わず叫ぶと、トントンさんがゾムさんの頭に鉄拳を加えた。
ゾムさんが床で頭から煙を出している…。
「…そのボタンが、あなたと関係が?」
グルッペンさんは、チラッとゾムさんを横目に見ると、私に目線を戻して話を振ってきた。
「その…実は、そのボタン、作ったの私なんです…。猫さんに持っていかれてしまって…皆さんのところに行ってしまったみたい…です…。すみません…。」
この一言で場の空気が固まる。
「は…?え…?あれ、君が作ってん…?」
オスマンさんが、驚いたように聞いてきた。