第6章 俺様暴君にご用心!?
『人間、いつ死ぬのか誰にもわからないんだよ。自分のことなのにそんなこともわからないなんて、不公平だよね』
『だから、今したいことをするんだ』
誰、だっけ。
誰かそんなこと言ってたな。
ほんと、そのとーりだよ。
あたしこのままこんなとこで死んじゃうんだ。
みかも。
天(そら)も。
雷斗も。
みんな、残して?
あたしいなくなったら、誰があの子達面倒みるの?
ままは?
『自分が思うままに、正直に生きようよ。來』
あ……。
そうだ。
「……まきちゃん」
まきちゃんが、言ってたんだ。
「………來?」
え。
「あ、れ…?」
「気がついた?」
「とー、ま?あれ?ここ?」
暗い。
……どこ?
「どっかの洞窟」
「洞窟っ!?」
何その、サバイバル感満載な感じ。
「……って、なんであたし……っ」
下着……。
しかも後ろから抱きしめてくれてる斗真からも、肌のぬくもり感じる。
ってことはふたりとも、裸、ってこと、だよね?
「体冷えてたから、こーするしかなかったんだよ。俺もお前もびしょ濡れだし」
「あ……」
そうだ。
あたし。
船から、落ちて……。
「どっか痛む?」
「……」
手足を動かしてみるけど、軽い筋肉痛のような痛みがあるだけで他には特に何も感じない。
「大丈夫、みたい」
あれ。
でも待って。
暗闇に慣れてきた視界にうつったのは、黒のスーツのズボンが真っ赤に染まる、血液の色。
たぶん止血されている布は真っ白なシャツにも見えるけど、どー見ても真っ赤だ。
「斗真っ、足……っ」
「ここ上がる時ちょっとミスっただけ」
「でも…っ」
真っ赤だよ?
「動く、の?」
「心配ねーよ」
って、言ったって。
投げ出された左足は、ダランとしていてまるで意志を持たない。
「痛い、よね?」