第5章 『斗真』と『透』
わかってる。
ほんとはよく、わかってるんだ。
どんどん上がる、体温。
紅潮してく、頬。
上がる呼吸。
そのどれもが、彼等を興奮させる材料にしかならないってこと。
「だからその顔。何度言えばわかる?ライちゃんて、頭悪いの?」
「ふ、……んっ」
漏れ出る短い吐息は、艶めかしく彼等を誘うだけだし。
震える身体や、溢れる涙は彼等の嗜虐心を煽るだけだ。
「……わ、かって、る」
口に含んでいた指先は全て舐められ吸われ、掌へとキスを降らせる透と。
「わざと、だもん……っ」
ドアから凭れる場所をベッドのヘッドボードへとうつし、その逞しい胸にあたしを捕らえ、軽く、秘部を上下に擦る斗真。
その二人の腕をとり、顔を沈めた。
お願い。
恥ずかしくて顔あげらんないの。
なんか、言ってよ。
「………」
震えるままに、ふたりの掌へと舌を這わせば。
「それ、誘ってるってとって、いいの?」
「………ッッ」
「言えよ、ちゃんと。じゃなきゃわかんねぇ」
「……」
羞恥心で火照る身体と、熱くなる目頭。
恥ずかしくて。
恥ずかしすぎて。
顔、見れない。
だけどそれ以上に。
身体は、彼等を欲してる。
「………降参、する、認め、るから……っ」
『触って、下さい』
緊張?
羞恥心?
喉がカラカラで、最後はたぶん、声が出てない。
彼等に届いたのかも、あやしいくらいに。
「キミはほんとに、かわいいね」
え?
ふわりと。
頭に置かれた暖かい掌は、撫でるようにポンポン、と、触れていく。
「お前単純。思ったとおりに、反応するし」
え?
右頬に触れるのは、柔らかな唇で。
それは。
あたしの言葉が全部、伝わったことを示す。
さらに羞恥に真っ赤になるあたしに。
彼等はやっぱり、楽しむように追い討ちをかけるのだ。
「ねぇ、も一回、して見せて?」