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愛玩彼女

第5章 『斗真』と『透』


耳元へなんなら吐息でも吐き出すように、彼はわざとらしく囁いた。


「……っ」



思わずパチ、と開けた瞳。
と。
同時に同じようにパチ、と付いたのは部屋の電気で。


「なんで……っ?」



驚くように飛び起きたあたしの隣と、部屋のドアへともたれ掛かるもうひとり。
彼等はいつものように意地悪に微笑んで見せたのだ。


「はじめっからバレてんだよ」
「寝たふり通したいなら、ピクリとも反応しちゃだめだよ」
「………っ」



え?
あれ?


はじめっから?



恐る恐る彼等へと向けた視線。
同時に。
無意識に、右手はグーにして後ろへと隠した。



けど。



そんなの簡単に取られて。



グーのままに。
その掌に透の唇が触れた。


「………ッッ!」


「ナニ、してたの?この右手で」
「ぇ」
「玄関入った途端、甘い匂いプンプンしてんだけど」

「……っ」


かあああ。

って。
一気に体温急上昇。
ブラックホールにでも、誰かあたしを放り込んで。
こんなの、普通の穴じゃ収まりきかないくらい恥ずかしすぎる。


「な、何もしてない。寝てたし」
「ふーん?」


「あ、ちょ…っ、ん」


透の舌が、握りしめたままの右手を這う。


「やだ、それ」

「なんで?なんもしてないんでしょ?」


握りしめたままの親指を、唇で広げて。
そのままパクっと、口の中へ。
透の口の中、暖かくて。
さっきもまた、イけなかったし。
またジンジンと、疼いてくる。


「………っ」


徐々に力の抜けた掌は、容易に透の唇で開かされていき。
その度に。
口の中でさんざん弄ばれるのだ。



「すれば、降参」


傍観中の斗真の言葉に激しく首を振る。
だってそんなの、バレバレだって認めたくなんかないもん。


「いつまで続くかな、それ」
「ほら、もうびっしょびしょじゃん」
「……っ」


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